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式と証明|分数式の乗法や除法について

数学2

数学2 式と証明

今回は分数式の乗法や除法について学習しましょう。

分数式は、数学だけでなく物理や化学などの教科でもよく用いられます。ですから、分数式を上手に扱えるようになると、公式などの数式を扱うときに苦労することが少なくなります。

分数式は単元を選ばずに用いられるので、きちんと扱い方をマスターしておいた方が良いでしょう。

分数式の基本性質

分数式には基本的な性質が2つあります。

分数式の基本性質

(1)AB=ACBCただし、C0(2)ADBD=AB

1つは「分母と分子に0でない同じ値をそれぞれ掛けても等しい」という性質です(基本性質(1))。これは通分のときに用いられている性質です。

この性質が成り立つことによって、分数式の加法や減法が可能になります。

もう1つは「分母と分子を同じ値でそれぞれ割っても等しい」という性質です(基本性質(2))。これは約分のときに用いられている性質です。

約分では、ともに割り切れる数で割りますが、割り切れない数で割っても等しくなります。

整式を扱った分数式で基本方式を用いるには

約分は、実際には基本性質(2)を用いて行われています。

約分の仕組み

1280=3×420×4ADBD と同じ形=320

分かりやすい分数で約分してみましたが、約分では分母と分子の共通因数がポイントになります。分母と分子に共通の因数があるとき、約分することができます。

しかし、ここで扱うのは数ではなく整式です。一般に、整式は、単項式の和で表された多項式で与えられます。多項式のままだと因数が分からないので、約分することができません。

整式がもつ因数を調べるには、因数分解しなければなりません。つまり、整式を扱った分数式において、基本性質を用いるには、整式を因数分解しなければならないということです。

整式を扱った分数式では、整式を因数分解することがポイント。

分数式の乗法や除法

分数式の四則計算では、それぞれ決まった規則で計算します。ここでは、乗法と除法について確認します。

分数式の乗法や除法

乗法AB×CD=ACBD除法
AB÷CD=AB×DC=ADBC

分数式の乗法では、分母どうし、分子どうしをそれぞれ掛け算します。分数式の除法では、割る数式の逆数を割られる数式に掛け算します。

分数式の基本性質や乗法・除法の計算については、すでに学習していることなので今更と思うかもしれません。

分かっておかなければならないことは、この形に当てはまれば、数だろうと文字式だろうと同じように扱えるということです。ここでは、分母や分子が整式になった分数式を扱うので、より意識しておきたいことです。

分母や分子が整式、特に多項式になると、なぜか扱えなくなる人がいます。おそらく、公式との対応関係や、単項式と多項式の違いを把握できていないのが原因だろうと考えられます。

上記の式は単項式で表されていますが、実際に扱うのは多項式なので、多項式の因数をAやBと捉えなければなりません。

そういったことも含めて、分母や分子が整式となった分数式の上手な扱い方を演習してマスターしましょう。

分数式の乗法や除法に慣れよう

分数式の乗法や除法を扱った計算を見てみましょう。

例題

次の計算をせよ。(1)a2+2a3a2a2×a25a+6a24a+3(2)x+12x1÷x22x32x2+5x3(3)3a2+8a+4a21÷6a2+a2a2+a×2a1a+2

例題(1)の解答・解説

例題(1)

次の計算をせよ。a2+2a3a2a2×a25a+6a24a+3

例題(1)は、分数式の乗法です。分母どうし、分子どうしをそれぞれ掛け算すれば良いのですが、分数式の乗除算での最優先は約分です。

約分によって、分母と分子を小さな値にしてから掛け算した方が暗算でき、計算ミスを防ぐことができます。

約分できるかどうかは整式の因数を調べれば分かるので、分母と分子をそれぞれ因数分解します。

例題(1)の解答例 1⃣

a2+2a3a2a2×a25a+6a24a+3= (a1)(a+3)(a+1)(a2)×(a2)(a3)(a1)(a3)

各整式を因数分解するとき、たすき掛けを書いて因数分解しても良いですが、最終的には暗算できるようにしておきましょう。

もし、暗算でできないようであれば、今のうちに数学1に戻って演習をこなした方が良いでしょう。後になってからでは復習する余裕がなくなるからです。

なお、因数分解した後の分数式について、カッコ内の多項式をそれぞれ1つの文字に置き換えてみると、以下のような式になっていると捉えることができます。

多項式の積を単項式の積に見立てよう

(a1)(a+3)(a+1)(a2)×(a2)(a3)(a1)(a3) ABCD×DEAE=BC

上記のような形に見えれば、分数式の基本性質(2)を利用できることが分かるでしょう。

約分して整式がいくつか残っていれば、分母どうし、分子どうしをそれぞれ掛け算します。

例題(1)の解答例 2⃣

a2+2a3a2a2×a25a+6a24a+3= (a1)(a+3)(a+1)(a2)×(a2)(a3)(a1)(a3)= a+3a+1

先に約分したおかげで、計算せずに済みました。分数を上手に扱うために、分母と分子の因数を調べて約分することを優先しましょう。

分母や分子の因数をそれぞれ調べて約分しよう。

例題(2)の解答・解説

例題(2)

次の計算をせよ。x+12x1÷x22x32x2+5x3

例題(2)は、分数式の除法です。正負の数でも学習しましたが、乗除算は乗法に統一してから計算します。

除法を乗法に置き換え、乗法に統一します。

例題(2)の解答例 1⃣

x+12x1÷x22x32x2+5x3= x+12x1×2x2+5x3x22x3

除法を乗法に置き換えたら、例題(1)と同じように、各整式の因数を調べて約分します。

例題(2)の解答例 2⃣

x+12x1÷x22x32x2+5x3= x+12x1×2x2+5x3x22x3= x+12x1×(x+3)(2x1)(x+1)(x3)= x+3x3

ちなみに、因数分解した後の分数式において、カッコ内の多項式をそれぞれ1つの文字に置き換えてみると、以下のような式になっていると捉えることができます。

多項式の積を単項式の積に見立てよう

x+12x1×(x+3)(2x1)(x+1)(x3) AB×CBAD=CD

分数式の乗法や除法では、整式を因数分解して約分することが何よりも優先されます。約分できれば計算らしい計算もないので、ミスなく解くことができます。

例題(3)の解答・解説

例題(3)

次の計算をせよ。3a2+8a+4a21÷6a2+a2a2+a×2a1a+2

例題(3)は、乗法と除法の混ざった計算です。乗法に統一します。

例題(3)の解答例 1⃣

3a2+8a+4a21÷6a2+a2a2+a×2a1a+2= 3a2+8a+4a21×a2+a6a2+a2×2a1a+2

除法を乗法に置き換えるときに注意したいのは、割る分数式を見誤らないことです。

割る分数式とは、割り算記号(÷)の直後にある分数式です。与式で言えば、2番目の分数式です。与式の3番目にある分数式は、割る分数式ではないので注意しましょう。

乗法に統一できたら、分母と分子をそれぞれ因数分解して約分します。

例題(3)の解答例 2⃣

3a2+8a+4a21÷6a2+a2a2+a×2a1a+2= 3a2+8a+4a21×a2+a6a2+a2×2a1a+2= (a+2)(3a+2)(a+1)(a1)×a(a+1)(2a1)(3a+2)×2a1a+2= aa1

因数分解した後の分数式において、カッコ内の多項式をそれぞれ1つの文字に置き換えてみると、以下のような式になっていると捉えることができます。

多項式の積を単項式の積に見立てよう

(a+2)(3a+2)(a+1)(a1)×a(a+1)(2a1)(3a+2)×2a1a+2 ABCD×ECFB×FA=ED

1つの文字に置き換えるとよく分かりますが、分数式の基本性質に当てはまれば、多項式であっても約分できます。

次は、分数式の乗法や除法を実際に解いてみましょう。