図形の性質|内心について

数学A

数学A 図形の性質

内心を扱った問題を解いてみよう

次の問題を考えてみましょう。

内心を扱った問題
問(1),(2)

問(1)の解答・解説

問(1)

図において、点 $I$ は$\triangle ABC$ の内心である。このとき、次の問に答えよ。

角 $x$

内心を扱った問題問(1)の図
問(1)の図

問(1)は、角x(=∠BIC)を求める問題です。点Iは△ABCの内心であることに注意しましょう。

三角形の頂点A,B,Cと内心Iをそれぞれ結んだ線分は、角の二等分線です。与えられた図で言えば、線分BI,CIが角の二等分線になります。また、大きさが同じ角には記号を入れておきましょう。

作図の結果から、△IBCに注目すると、∠CBIと∠BCIの大きさが分かります。△IBCにおいて、三角形の内角の和を利用します。

問(1)の解答例

線分 $BI \ , \ CI$ は内角の二等分線より

\begin{align*} &\quad \angle {ABI} = \angle {CBI} = 30^{\circ} \\[ 7pt ] &\quad \angle {ACI} = \angle {BCI} = 20^{\circ} \end{align*}

三角形の内角の和より

\begin{align*} \quad \angle {BIC} = 180^{\circ} – \left\{\angle {CBI} + \angle {BCI} \right\} \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} \quad x = 130^{\circ} \end{align*}
内心を扱った問題問(1)の図
問(1)の図

問(1)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

内心を扱った問題問(1)の解答例
問(1)のポイントと解答例

基礎レベルの問題なのでかなり易しく感じるでしょうが、手抜きせずにしっかり作図しましょう。

このレベルの問題を解く意義は主に2つあります。

1つは、性質や公式に慣れることです。もう1つは、問題を解くときの基本作業や思考プロセスを習慣化することです。

問(2)の解答・解説

問(2)

図において、点 $I$ は$\triangle ABC$ の内心である。このとき、次の問に答えよ。

$AI:ID$

内心を扱った問題問(2)の図
問(2)の図

問(2)は線分の比AI:IDを求める問題です。大きさの等しい角に記号を書き込むのはもちろんですが、線分の比も図に書き込みます。

角の二等分線と比の関係を利用すれば良いことは分かりますが、関係を利用しただけでは簡単に解けません。段階を踏まないと解けない問題です。

AI:IDを求めるには、BA:BDが必要です。ただし、線分BDの長さが分からないので、線分BDの長さを求めることから始めます。

∠BACの二等分線に注目します。角の二等分線と比の関係から、BD:DCを求めることができます。これを利用して、線分BDの長さを求めます。

問(2)の解答例 1⃣

$\angle {BAC}$ の二等分線より

\begin{align*} &\quad BD:DC = AB:AC \\[ 7pt ] &\quad BD:DC = 6:4 = 3:2 \end{align*}

$BD:DC=3:2$ より

\begin{align*} \quad BD:BC = 3:5 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad BD = \frac{3}{5} BC \end{align*}

$BC=5$ より

\begin{align*} \quad BD = 3 \end{align*}
内心を扱った問題問(2)の図
問(2)の図

線分BDの長さが分かったので、∠ABCの二等分線BIに注目します。角の二等分線と比の関係を利用します。

問(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad BD &= 3 \end{align*}

$\angle {ABC}$ の二等分線より

\begin{align*} \quad BA:BD = AI:ID \end{align*}

ここで

\begin{align*} &\quad BA=6 \\[ 7pt ] &\quad BD=3 \end{align*}

より

\begin{align*} \quad AI:ID=6:3 \end{align*}

すなわち

\begin{align*} \quad AI:ID=2:1 \end{align*}
内心を扱った問題問(2)の図
問(2)の図

問(2)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

内心を扱った問題問(2)の解答例
問(2)のポイントと解答例

問(2)のように、解くためにいくつかの段階が必要な問題は、差のつく問題です。入試レベルでは合否に関わります。

このような問題を解くには、問題で要求されていることから逆算することがコツです。

たとえば「与えられた情報のうち、求めたい解と関係するのはどれか」や「どんな情報があれば、解に至るか」などのように、解の方から逆算して考えます。

逆算して解法を考えるという思考は、数学ではよくある思考です。特に、証明問題初見の問題では非常に有効です。

逆算の思考は、訓練すれば誰でも身に付けることができます。最短ルートの解法を思いつく手段になるので、身に付けておきましょう。

Recommended books

紹介するのは、高校数学の授業についていけずに焦っている人向けの教材です。授業についていけない原因は色々と考えられますが、その中でも中学で学習した内容を理解していないことが大半を占めているかもしれません。

高校1年生の場合、数学の内容はほとんどが中学の応用みたいなものです。ですから、予習が進まない、授業についていけない、などがあれば、中学の学習内容を確認することをお勧めします。確認すれば分かりますが、意外と理解していなかったことに気付くはずです。

高校2,3年生にとっては、今さら中学の復習なんかやってられないと思うかもしれません。しかし、理解できない箇所が出てくれば、嫌でも前の単元に戻らなければなりません。そうやって単元をさかのぼっていくと、結局、中学内容に行き着くことも少なくありません。

特に、苦手科目については効果的だと思います。高校での学習に行き詰っている人は、変なこだわりを捨てて、中学内容まで戻ってみると良いでしょう。案外、もっと早く取り組んでいれば良かったと思うかもしれません。

オススメ-『高校入試「解き方」が身につく問題集』シリーズ

学習内容の理解の深度を知るには、問題を解くことが一番分かりやすいです。レベル別に問題を解けば、理解度をより詳細に知ることができるでしょう。このことは、中学内容だろうと高校内容だろうと変わりません。

『高校入試「解き方」が身につく問題集』シリーズは、高校入試対策用の問題集になりますが、頻出の問題を扱っているので、重要事項やその使い方を効率良く確認することができます。

入試レベルなので応用的な問題が多いですが、高校の授業についていくにはそのくらいの理解度が必要です。つまり、高校数学についていけないとすれば、中学数学の応用レベルに達していない箇所が足枷になっている可能性が高いです。

目安としては、高校入試レベルの問題が8割以上解けることを目標にすると良いでしょう。8割取れるようになれば、高校の学習において、多少の躓きはあっても遅れを取ることは少ないでしょう。

「暗記では解けない問題の解き方」を身につける!

★「出題頻度が高い」&「解き方にコツがある」問題をマスターして得点アップ!

公立高校入試の問題は、難度の幅が広く、暗記で解ける問題と解き方(考え方)が必要な問題があります。一部の問題は演習量よりも、解き方を押さえてから演習したほうが効率的に点数を上げることができます。本書で選んだ問題をマスターすることで、入試の得点アップにつながります。

★徹底的に「解き方」に焦点を当てた解説!

「例題」「解き方チェック問題」「実践問題の解答解説」のすべてで「解き方」のチェックポイントに沿った解説をしています。

数学だけでなく、他の科目もあります。苦手科目だけでも取り組んでみると良いでしょう。

ここで紹介する問題集に限りませんが、ページ数の少ない教材を選んで周回しましょう。あまり時間を掛けられないので、短期間で集中的に済ませる方が効率的です。

大事なことは、自分に合った教材を徹底的に活用することです。どの教材を選ぶにしても、自分の目で中身を確認し、納得してから購入することが大切です。

さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 内心は三角形の内接円の中心。
  • 内心は三角形の内角の二等分線の交点。
  • 内角の二等分線を利用して、三角形の内角や内接円の中心角の大きさを求める問題が出題される。
  • 内角の二等分線と比の関係を利用して、線分の長さや比を求める問題が出題される。
  • 内接円の半径を利用して、三角形の面積を求める問題が出題される。