図形の性質|円に内接する四角形について
円に内接する四角形を扱った問題を解いてみよう
次の問題を考えてみましょう。
問1(1)の解答・解説
問1(1)
図 $(1)$ において、角 $x$ を求めよ。
問1は、角x,yを求める問題です。円周角と中心角の関係や、円に内接する四角形の性質を利用します。
問1(1)では、円に内接する四角形ABCDが対角線BCによって、△ABCと△BDCの2つの三角形に分割されています。
△ABCに注目すると、3つの内角のうち2つがすでに分かっています。三角形の内角の和から、残りの内角である∠BACを求めます。
問1(1)の解答例 1⃣
\begin{align*} \quad \angle ABC = 50^{\circ} \ , \ \angle ACB = 60^{\circ} \end{align*}であるので、三角形の内角の和より
\begin{align*} \quad \angle BAC = 180^{\circ} – ( 50^{\circ} + 60^{\circ} ) \end{align*}よって
\begin{align*} \quad \angle BAC = 70^{\circ} \end{align*}∠BACは△ABCの内角でしたが、四角形ABCDの内角でもあります。このことを利用するために、四角形ABCDに注目します。
四角形ABCDは円に内接しているので、円に内接する四角形の対角の和を利用します。
問1(1)の解答例 2⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAC &= 70^{\circ} \end{align*}また、円に内接する四角形の性質より
\begin{align*} \quad \angle BAC + \angle BDC = 180^{\circ} \end{align*}よって
\begin{align*} \quad \angle BDC = 180^{\circ} – \angle BAC \end{align*}求めたい角xは∠BDCのことなので、∠BDCを求めます。
問1(1)の解答例 3⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAC &= 70^{\circ} \\[ 7pt ] &\vdots \end{align*} \begin{align*} \quad \angle BDC &= 180^{\circ} – \angle BAC \\[ 7pt ] &= 180^{\circ} – 70^{\circ} \end{align*}$\angle BDC =x$ より
\begin{align*} \quad x = 110^{\circ} \end{align*}問1(1)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問1(2)の解答・解説
問1(2)
図 $(2)$ において、角 $y$ を求めよ。
問1(2)では、△ABEが線分CDによって四角形ABCDと△CDEに分割されています。四角形ABCDは円に内接しているので、円に内接する四角形の性質を利用します。
問1(2)の解答例 1⃣
円に内接する四角形の性質から
\begin{align*} \quad \angle BAD + \angle BCD = 180^{\circ} \end{align*}$\angle BCD = 120^{\circ}$ より
\begin{align*} \quad \angle BAD = 60^{\circ} \end{align*}次は、求めたい角yは∠AEBのことなので、△ABEに注目します。3つの内角のうち2つは大きさが分かっているので、三角形の内角の和を利用します。
問1(2)の解答例 2⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAD &= 60^{\circ} \end{align*}$\triangle ABE$ において、内角の和から
\begin{align*} \quad \angle AEB &= 180^{\circ} – \left( \angle ABE + \angle BAE \right) \\[ 7pt ] &= 180^{\circ}- \left( 80^{\circ} + 60^{\circ} \right) \end{align*}$\angle AEB =y$ より
\begin{align*} \quad y = 40^{\circ} \end{align*}問1(2)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問2の解答・解説
問2
図において $AB \parallel CD$であることを証明せよ。
問2は、2つの線分AB,CDが平行であることを証明する問題です。円に内接する四角形があるので、その性質を利用します。
ところで、2つの直線や線分が平行であるための条件を覚えていますか? いくつかありますが、よく利用するのが以下の条件です。
2つの直線や線分が平行であるための条件
- 同位角が等しい
- 錯角が等しい
- 隣り合う内角の和が180°である
※同位角や錯角は角の位置関係を表す用語。「同位角(錯角)=平行」ではない。「同位角(錯角)が等しい=平行」であることに注意しよう。
円に内接する四角形があるので、その性質を利用して大きさの等しい角に記号を書き込んでいくと、どの条件を使うべきかが分かってくるでしょう。
四角形ABFEに注目します。1つの内角とその対角の外角の関係を利用します。
問2の解答例 1⃣
四角形 $ABFE$ において
\begin{align*} \quad \angle BAE = \angle EFC \quad \cdots \text{①} \end{align*}次に、四角形CDEFに注目します。円に内接する四角形の対角の和を利用します。
問2の解答例 2⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAE &= \angle EFC \quad \cdots \text{①} \end{align*}四角形 $CDEF$ において
\begin{align*} \quad \angle EFC + \angle CDE = 180^{\circ} \quad \cdots \text{②} \end{align*}①,②式から、∠BAEと∠CDEの関係を導きます。
問2の解答例 3⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAE &= \angle EFC \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle EFC &+ \angle CDE = 180^{\circ} \quad \cdots \text{②} \end{align*}①,②より
\begin{align*} \quad \angle BAE + \angle CDE = 180^{\circ} \quad \cdots \text{③} \end{align*}③から四角形 $ABCD$ の隣り合う内角の和が $180^{\circ}$ になるので、$AB$ と $CD$ は平行である。
③式は、四角形ABCDの隣り合う内角の和が180°であることを示しています。このことから、ABとCDが平行であることを示すことができました。
問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問3(i)の解答・解説
問3(i)
図において、次のことを証明せよ。
四角形 $AEDF$ は円に内接する。
問3は、四角形が円に内接することを証明する問題です。四角形が円に内接するための条件は2つあります。
四角形が円に内接するための条件
- 対角の和が180°であること。
- 1つの内角とその対角の外角が等しいこと。
図をよく観察しながら、どちらの条件に当てはまるかを考えましょう。
問3(i)では、四角形AEDFが円に内接することを示します。予め分かっていることは、∠AED=∠AFD=∠ADC=90°であることです。
証明するにあたって、円を書き込んでみると角の関係が分かりやすくなるでしょう。
円を書き込んでみると、四角形AEDFにおいて、∠AEDと∠AFDは対角の関係であることが分かります。円に内接する四角形の対角の和を利用します。
問3(i)の解答例
\begin{align*} \quad \angle AED = \angle AFD = 90^{\circ} \end{align*}より、四角形 $AEDF$ において
\begin{align*} \quad \angle AED + \angle AFD = 180^{\circ} \end{align*}③より、四角形 $AEDF$ において、対角の和は $180^{\circ}$ になる。
よって、四角形 $AEDF$ は円に内接する。
問3(i)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問3(ii)の解答・解説
問3(ii)
図において、次のことを証明せよ。
四角形 $BCFE$ は円に内接する。
問3(ii)も(i)と同じようにして、証明するための条件を考えます。場合によっては(i)の結果も利用します。
問3(i)の結果から、四角形AEDFが円に内接するので、円周角の定理を利用することができます。
問3(ii)の解答例 1⃣
$(i)$ より、四角形 $AEDF$ は円に内接する。
よって、円周角の定理より
\begin{align*} \quad \angle AEF = \angle ADF \quad \cdots \text{①} \end{align*}∠AEFと∠ADFは、弧AFに対する円周角です。
次に、直角三角形である△ACDと△ADFに注目します。
問3(ii)の解答例 2⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle AEF &= \angle ADF \quad \cdots \text{①} \end{align*}$\triangle ACD$ と $\triangle ADF$ において
\begin{align*} &\quad \angle ADC = \angle AFD = 90^{\circ} \\[ 7pt ] &\quad \angle CAD = \angle DAF \end{align*}より
\begin{align*} \quad \triangle ACD \ \text{∽} \ \triangle ADF \end{align*}よって
\begin{align*} \quad \angle ACD = \angle ADF \quad \cdots \text{②} \end{align*}問3(ii)の最大のポイントは、△ACDと△ADFが相似の関係であることを導けるかどうかです。これを導ければ、∠ACD=∠ADFも導くことができます。
①,②式から、∠ACDと∠AEFの関係を導きます。
問3(ii)の解答例 3⃣
\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle AEF &= \angle ADF \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle ACD &= \angle ADF \quad \cdots \text{②} \end{align*}①,②より
\begin{align*} \quad \angle ACD = \angle AEF \quad \cdots \text{③} \end{align*}③より、四角形 $BCFE$ において、$1$ つの内角とその対角の外角が等しくなる。
よって、四角形 $BCFE$ は円に内接する。
③式は、四角形BCFEにおいて、1つの内角である∠ACDと、その対角の外角である∠AEFが等しいことを示します。このことから、四角形BCFEが円に内接することを示すことができました。
問3(ii)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問3(ii)がこの中では一番難易度の高い問題です。このようなレベルの問題では、知識があっても解けるとは限りません。
知識の使い方を知っておかなければ、初見では解くのが難しい問題です。様々な証明問題を解いて、知識の使い方を知っておくことが大切です。
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- 四角形が円に内接するとき、1つの内角とその対角の外角は等しい。
- 四角形の対角の和が180°になるとき、四角形は円に内接する。
- 1つの内角とその対角の外角が等しくなるとき、四角形は円に内接する。