図形の性質|円に内接する四角形について

数学A

数学A 図形の性質

円に内接する四角形を扱った問題を解いてみよう

次の問題を考えてみましょう。

円に内接する四角形を扱った問題問1
問1
円に内接する四角形を扱った問題問2
問2
円に内接する四角形を扱った問題問3
問3

問1(1)の解答・解説

問1(1)

図 $(1)$ において、角 $x$ を求めよ。

円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

問1は、角x,yを求める問題です。円周角と中心角の関係や、円に内接する四角形の性質を利用します。

問1(1)では、円に内接する四角形ABCDが対角線BCによって、△ABCと△BDCの2つの三角形に分割されています。

△ABCに注目すると、3つの内角のうち2つがすでに分かっています。三角形の内角の和から、残りの内角である∠BACを求めます。

問1(1)の解答例 1⃣

\begin{align*} \quad \angle ABC = 50^{\circ} \ , \ \angle ACB = 60^{\circ} \end{align*}

であるので、三角形の内角の和より

\begin{align*} \quad \angle BAC = 180^{\circ} – ( 50^{\circ} + 60^{\circ} ) \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad \angle BAC = 70^{\circ} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

∠BACは△ABCの内角でしたが、四角形ABCDの内角でもあります。このことを利用するために、四角形ABCDに注目します。

四角形ABCDは円に内接しているので、円に内接する四角形の対角の和を利用します。

問1(1)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAC &= 70^{\circ} \end{align*}

また、円に内接する四角形の性質より

\begin{align*} \quad \angle BAC + \angle BDC = 180^{\circ} \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad \angle BDC = 180^{\circ} – \angle BAC \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

求めたい角xは∠BDCのことなので、∠BDCを求めます。

問1(1)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAC &= 70^{\circ} \\[ 7pt ] &\vdots \end{align*} \begin{align*} \quad \angle BDC &= 180^{\circ} – \angle BAC \\[ 7pt ] &= 180^{\circ} – 70^{\circ} \end{align*}

$\angle BDC =x$ より

\begin{align*} \quad x = 110^{\circ} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

問1(1)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

円に内接する四角形を扱った問題問1(1)の解答例
問1(1)のポイントと解答例

問1(2)の解答・解説

問1(2)

図 $(2)$ において、角 $y$ を求めよ。

円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

問1(2)では、△ABEが線分CDによって四角形ABCDと△CDEに分割されています。四角形ABCDは円に内接しているので、円に内接する四角形の性質を利用します。

問1(2)の解答例 1⃣

円に内接する四角形の性質から

\begin{align*} \quad \angle BAD + \angle BCD = 180^{\circ} \end{align*}

$\angle BCD = 120^{\circ}$ より

\begin{align*} \quad \angle BAD = 60^{\circ} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

次は、求めたい角yは∠AEBのことなので、△ABEに注目します。3つの内角のうち2つは大きさが分かっているので、三角形の内角の和を利用します。

問1(2)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAD &= 60^{\circ} \end{align*}

$\triangle ABE$ において、内角の和から

\begin{align*} \quad \angle AEB &= 180^{\circ} – \left( \angle ABE + \angle BAE \right) \\[ 7pt ] &= 180^{\circ}- \left( 80^{\circ} + 60^{\circ} \right) \end{align*}

$\angle AEB =y$ より

\begin{align*} \quad y = 40^{\circ} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問1
問1の図

問1(2)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

円に内接する四角形を扱った問題問1(2)の解答例
問1(2)のポイントと解答例

問2の解答・解説

問2

図において $AB \parallel CD$であることを証明せよ。

円に内接する四角形を扱った問題問2
問2の図

問2は、2つの線分AB,CDが平行であることを証明する問題です。円に内接する四角形があるので、その性質を利用します。

ところで、2つの直線や線分が平行であるための条件を覚えていますか? いくつかありますが、よく利用するのが以下の条件です。

2つの直線や線分が平行であるための条件

  • 同位角が等しい
  • 錯角が等しい
  • 隣り合う内角の和が180°である

※同位角や錯角は角の位置関係を表す用語。「同位角(錯角)=平行」ではない。「同位角(錯角)が等しい=平行」であることに注意しよう。

円に内接する四角形があるので、その性質を利用して大きさの等しい角に記号を書き込んでいくと、どの条件を使うべきかが分かってくるでしょう。

四角形ABFEに注目します。1つの内角とその対角の外角の関係を利用します。

問2の解答例 1⃣

四角形 $ABFE$ において

\begin{align*} \quad \angle BAE = \angle EFC \quad \cdots \text{①} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問2の図
問2の図

次に、四角形CDEFに注目します。円に内接する四角形の対角の和を利用します。

問2の解答例 2⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAE &= \angle EFC \quad \cdots \text{①} \end{align*}

四角形 $CDEF$ において

\begin{align*} \quad \angle EFC + \angle CDE = 180^{\circ} \quad \cdots \text{②} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問2の図
問2の図

①,②式から、∠BAEと∠CDEの関係を導きます。

問2の解答例 3⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle BAE &= \angle EFC \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle EFC &+ \angle CDE = 180^{\circ} \quad \cdots \text{②} \end{align*}

①,②より

\begin{align*} \quad \angle BAE + \angle CDE = 180^{\circ} \quad \cdots \text{③} \end{align*}

③から四角形 $ABCD$ の隣り合う内角の和が $180^{\circ}$ になるので、$AB$ と $CD$ は平行である。

円に内接する四角形を扱った問題問2の図
問2の図

③式は、四角形ABCDの隣り合う内角の和が180°であることを示しています。このことから、ABとCDが平行であることを示すことができました。

問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

円に内接する四角形を扱った問題問2の解答例
問2のポイントと解答例

問3(i)の解答・解説

問3(i)

図において、次のことを証明せよ。

四角形 $AEDF$ は円に内接する。

円に内接する四角形を扱った問題問3
問3の図

問3は、四角形が円に内接することを証明する問題です。四角形が円に内接するための条件は2つあります。

四角形が円に内接するための条件

  • 対角の和が180°であること。
  • 1つの内角とその対角の外角が等しいこと。

図をよく観察しながら、どちらの条件に当てはまるかを考えましょう。

問3(i)では、四角形AEDFが円に内接することを示します。予め分かっていることは、∠AED=∠AFD=∠ADC=90°であることです。

証明するにあたって、円を書き込んでみると角の関係が分かりやすくなるでしょう。

円を書き込んでみると、四角形AEDFにおいて、∠AEDと∠AFDは対角の関係であることが分かります。円に内接する四角形の対角の和を利用します。

問3(i)の解答例

\begin{align*} \quad \angle AED = \angle AFD = 90^{\circ} \end{align*}

より、四角形 $AEDF$ において

\begin{align*} \quad \angle AED + \angle AFD = 180^{\circ} \end{align*}

③より、四角形 $AEDF$ において、対角の和は $180^{\circ}$ になる。

よって、四角形 $AEDF$ は円に内接する。

円に内接する四角形を扱った問題問3(i)の図
問3(i)の図

問3(i)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

円に内接する四角形を扱った問題問3(i)の解答例
問3(i)のポイントと解答例

問3(ii)の解答・解説

問3(ii)

図において、次のことを証明せよ。

四角形 $BCFE$ は円に内接する。

円に内接する四角形を扱った問題問3
問3の図

問3(ii)も(i)と同じようにして、証明するための条件を考えます。場合によっては(i)の結果も利用します。

問3(i)の結果から、四角形AEDFが円に内接するので、円周角の定理を利用することができます。

問3(ii)の解答例 1⃣

$(i)$ より、四角形 $AEDF$ は円に内接する。

よって、円周角の定理より

\begin{align*} \quad \angle AEF = \angle ADF \quad \cdots \text{①} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問3(ii)の図その1
問3(ii)の図

∠AEFと∠ADFは、弧AFに対する円周角です。

次に、直角三角形である△ACDと△ADFに注目します。

問3(ii)の解答例 2⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle AEF &= \angle ADF \quad \cdots \text{①} \end{align*}

$\triangle ACD$ と $\triangle ADF$ において

\begin{align*} &\quad \angle ADC = \angle AFD = 90^{\circ} \\[ 7pt ] &\quad \angle CAD = \angle DAF \end{align*}

より

\begin{align*} \quad \triangle ACD \ \text{∽} \ \triangle ADF \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad \angle ACD = \angle ADF \quad \cdots \text{②} \end{align*}
円に内接する四角形を扱った問題問3(ii)の図その2
問3(ii)の図

問3(ii)の最大のポイントは、△ACDと△ADFが相似の関係であることを導けるかどうかです。これを導ければ、∠ACD=∠ADFも導くことができます。

①,②式から、∠ACDと∠AEFの関係を導きます。

問3(ii)の解答例 3⃣

\begin{align*} &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle AEF &= \angle ADF \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\vdots \\[ 7pt ] \quad \angle ACD &= \angle ADF \quad \cdots \text{②} \end{align*}

①,②より

\begin{align*} \quad \angle ACD = \angle AEF \quad \cdots \text{③} \end{align*}

③より、四角形 $BCFE$ において、$1$ つの内角とその対角の外角が等しくなる。

よって、四角形 $BCFE$ は円に内接する。

円に内接する四角形を扱った問題問3(ii)の図その3
問3(ii)の図

③式は、四角形BCFEにおいて、1つの内角である∠ACDと、その対角の外角である∠AEFが等しいことを示します。このことから、四角形BCFEが円に内接することを示すことができました。

問3(ii)のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

円に内接する四角形を扱った問題問3(ii)の解答例
問3(ii)のポイントと解答例

問3(ii)がこの中では一番難易度の高い問題です。このようなレベルの問題では、知識があっても解けるとは限りません。

知識の使い方を知っておかなければ、初見では解くのが難しい問題です。様々な証明問題を解いて、知識の使い方を知っておくことが大切です。

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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 四角形が円に内接するとき、対角の和は180°である。
  • 四角形が円に内接するとき、1つの内角とその対角の外角は等しい。
  • 四角形の対角の和が180°になるとき、四角形は円に内接する。
  • 1つの内角とその対角の外角が等しくなるとき、四角形は円に内接する。