数と式|整式の展開に関する問題を解いてみよう

乗法公式は、式の形や符号などの共通点や相違点に注目すれば、効率良く覚えることができます。しかし覚えただけで満足してはいけません。
実際の問題に当てはめて使えるかを確認しましょう。演習することで、どのような問題に、どの乗法公式を使うのかが分かってきます。
公式は使えてこそ
公式は使えてこそ価値があります。乗法公式は計算の負担を減らすためにあるので、どんどん使っていきましょう。
展開することだけを目的にすれば、使い慣れた分配法則で展開しても良いのですが、それでは乗法公式を使いこなせるようになりません。今までのやり方に頼るだけでなく、新しいやり方で解決できるようにしておくことも大切ではないかと思います。
初めのうちは失敗することもあるでしょうが、大事なことは「とにかく使ってみる」ということです。
見ながらでも構わないので、使いこなせるまで演習をこなしましょう。
整式の展開に関する基本例題
式の形をよく見て、どの乗法公式で展開できそうかを考えます。
第1~3問は中学レベルの問題なので今さらですが、このような易しいレベルから公式に当てはめる練習をすることで、公式の使い方が分かってきます。レベルが上がるにつれて、下準備や処理することが多くなり、余裕がなくなります。
乗法公式は以下の10個の式でした。
第1問の解答・解説
1.\quad { \left( 3x+2 \right) }^{ 2 }
\end{equation*}
与式を見ると非常に分かりやすい形です。2項からなる多項式を2乗した形なので、1番目の乗法公式に当てはまります。
与式と乗法公式を上下に並べて書き、各項の対応関係を確認します。$a=3x \ , \ b=2$ に対応しています。
与式に続く形で展開後の式を書きますが、計算せずに対応する箇所を置き換えた式を書きましょう。公式に当てはめる練習をするためです。
{ \left( a+b \right) }^{ 2 } = \ &{a}^{2} +2ab +{b}^{2} \\[ 10pt ]
1.\quad { \left( 3x+2 \right) }^{ 2 } = \ &{\left( 3x \right)}^{2} + 2 \times 3x \times 2 + {2}^{2}
\end{align*}
式を展開した後は和の形(式全体で1つの多項式)になっているので、各項ごとに乗算して整理していくと終了です。解答例は以下のようになります。
公式の使い方に慣れてくると、数や文字が変わっても対応関係を簡単に見抜けるようになります。そのためにも演習して習熟度を上げましょう。
第2問の解答・解説
2.\quad \left( x+4 \right) \left( x-4 \right)
\end{equation*}
与式を見ると、これも非常に分かりやすいです。2項目の符号だけが異なる形なので、3番目の乗法公式に当てはまります。
与式と乗法公式を上下に並べて書き、各項の対応関係を確認します。$a=x \ , \ b=4$ に対応しています。
\left( a+b \right) \left( a+b \right) = \ &{a}^{2} -{b}^{2} \\[ 10pt ]
2.\quad \left( x+4 \right) \left( x-4 \right) = \ &{x}^{2} – {4}^{2}
\end{align*}
展開後は和の形になっているので、各項ごとの処理を優先すると終了です。解答例は以下のようになります。
第3問の解答・解説
3.\quad \left( x-3 \right) \left( x+5 \right)
\end{equation*}
与式を見ると、文字 $x$ についての1次式どうしの積になっています。4番目の乗法公式で、$a=c=1$ のときです。
もちろん、中学で履修済みの公式でも展開できますが、文字 $x$ の1次の項の係数が $1$ になるとは限らないので、できるだけ4番目の乗法公式を使って展開しましょう。
与式と乗法公式を上下に並べて書き、各項の対応関係を確認します。$a=1 \ , \ b=-3 \ , \ c=1 \ , \ d=5$ に対応しています。$b$ との対応関係を間違えやすいので注意しましょう。
\left( ax+b \right) \left( cx+d \right) = \ &ac{x}^{2} +\left( ad+bc \right)x +bd \\[ 10pt ]
3.\quad \left( x-3 \right) \left( x+5 \right) = \ &1 \times 1\times{x}^{2} +\{ 1 \times 5 + \left( -3 \right) \times 1 \}x + \left( -3 \right) \times 5
\end{align*}
展開後は各項ごとに処理すると終了です。符号ミスに気を付けましょう。解答例は以下のようになります。
第4問の解答・解説
4.\quad \left( 2x+3 \right) \left( x-4 \right)
\end{equation*}
与式を見ると、第3問と同様に文字 $x$ についての1次式どうしの積になっているので、4番目の乗法公式で展開できます。
与式と乗法公式を上下に並べて書き、各項の対応関係を確認します。$a=2 \ , \ b=3 \ , \ c=1 \ , \ d=-4$ のときです。$d$ との対応関係を間違えやすいので注意しましょう。
\left( ax+b \right) \left( cx+d \right) = \ &ac{x}^{2} +\left( ad+bc \right)x +bd \\[ 10pt ]
4.\quad \left( 2x+3 \right) \left( x-4 \right) = \ &2 \times 1\times{x}^{2} +\{ 2 \times \left( -4 \right) + 3 \times 1 \}x + 3 \times \left( -4 \right)
\end{align*}
展開後は各項ごとに処理すると終了です。符号ミスに気を付けましょう。解答例は以下のようになります。
次は応用問題に挑戦します。