図形と計量|三角形の面積について
三角形の面積を求めてみよう(基本編)
次の問題を解いてみましょう。
問1の解答・解説
問1
$b=10 \ , \ c=6 \ , \ A=60^{\circ}$ である $\triangle ABC$ の面積を求めよ。
問1は、三角形の面積を求める問題です。図形の問題なので、作図しましょう。
辺の長短や角の大小関係ができるだけ正確な図にしましょう。
また、公式の文字との対応関係が分かるように「a=~」と書き込んでおきましょう。
そうすれば、公式との連携もスムーズになります。与えられた数量をもとに作図すると、図のようになります。
図から、2辺の長さとその挟む角の大きさが分かっているので、公式に代入すれば面積を求めることができます。
問1の解答例
$\triangle ABC$ の面積 $S$ は
\begin{align*} \quad S &= \frac{1}{2} \cdot AC \cdot AB \sin A \\[ 7pt ] &= \frac{1}{2} \cdot 10 \cdot 6 \cdot \sin {60^{\circ}} \\[ 7pt ] &= \frac{1}{2} \cdot 10 \cdot 6 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \\[ 7pt ] &= 15\sqrt{3} \end{align*}問1のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
問1は、公式を使うための基本的な問題です。公式をしっかり書いて、文字に対応する数を代入して解きましょう。
三角形の面積を求めてみよう(標準編)
次の問題を解いてみましょう。
入試レベルでは基礎レベルですが、よくある形式の問題です。
問2の解答・解説
問2
$\triangle ABC$ において、$a=7 \ , \ b=8 \ , \ c=9$ のとき、次の値を求めよ。
$(i) \quad \cos A$
$(ii) \quad \sin A$
$(iii) \quad \text{面積} \ S$
問2は小問形式になっていますが、最終的に求めたいのは三角形の面積です。図形の問題なので、作図しましょう。
辺の長短や角の大小関係ができるだけ正確な図にしましょう。
与えられた数量をもとに作図すると、図のようになります。
問2(i)は、∠Aに対する余弦cosAを求める問題です。3辺の長さが与えられているので、余弦定理を利用します。
問2(i)の解答例
余弦定理より
\begin{align*} \quad \cos A &= \frac{b^{2} + c^{2} – a^{2}}{2bc} \\[ 7pt ] &= \frac{8^{2} + 9^{2} – 7^{2}}{2 \cdot 8 \cdot 9} \\[ 7pt ] &= \frac{64 + 81 – 49}{2 \cdot 8 \cdot 9} \\[ 7pt ] &= \frac{96}{2 \cdot 8 \cdot 9} \\[ 7pt ] &= \frac{2}{3} \end{align*}分子を優先して整理し、最後に約分をします。
問2(ii)は、∠Aに対する正弦sinAを求める問題です。問2(i)の結果と三角比の相互関係とを利用します。
問2(ii)の解答例
三角比の相互関係より
\begin{align*} &\quad \sin^{2}{A} + \cos^{2}{A} = 1 \\[ 7pt ] &\quad \sin^{2}{A} = 1- \cos^{2}{A} \\[ 7pt ] &\quad \sin^{2}{A} = 1- \left( \frac{2}{3} \right)^{2} \\[ 7pt ] &\quad \sin^{2}{A} = \frac{5}{9} \end{align*}$0^{\circ} \lt A \lt 180^{\circ}$ より
\begin{align*} \quad \sin A \gt 0 \end{align*}よって
\begin{align*} \quad \sin A = \frac{\sqrt{5}}{3} \end{align*}最後に正負の吟味があるので忘れないようにしましょう。
問2(iii)は、△ABCの面積Sを求める問題です。2辺の長さとその挟む角に対する正弦とが分かったので、公式を使って求めることができます。
問2(iii)の解答例
$\triangle ABC$ の面積 $S$ は
\begin{align*} \quad S &= \frac{1}{2} \cdot AC \cdot AB \sin A \\[ 7pt ] &= \frac{1}{2} \cdot 8 \cdot 9 \cdot \frac{\sqrt{5}}{3} \\[ 7pt ] &= 12\sqrt{5} \end{align*}問2のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。
一般に、問2のように小問形式の最後に出題されることが多いのが面積や体積の問題です。
たいていの場合、いくつかの小問を経てから面積を求めることになります。計算ミスをすると、次の小問の答えにも影響が出るので注意が必要です。
これが入試レベルの問題になると、いきなり小問(iii)だけが出題されることもあります。この場合であっても、小問(i),(ii)の結果が必要になるので、問2を解くような答案になります。
このような問題に対応するには、問2のような問題を解きこなし、面積を求めるまでの流れを把握しておかなければなりません。基本レベルの単問形式だけを解いていても、対処するのが難しいかもしれません。
単問形式は公式や定理を使うための練習問題。入試レベルに対応するためにも小問形式の問題を多く演習しよう。
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そのためにもやはり演習量は大切です。はじめのうちは何事も質よりも量の方を意識してこなす方が良いと思います。全体を一度通ってから質を考えると効率が良いでしょう。
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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう
- 三角形の面積を求めるには、2辺の長さと、その2辺がはさむ角の大きさが分かればよい。
- 3辺の長さが与えられている場合は、まず余弦定理から三角比の相互関係へ。
- 小問形式を解くことで、他の公式や定理との関わりがよく分かってくる。