数学I・A|2017センター試験・第5問を解いてみよう

05/20/2017数学1,数学A図形の性質,方べきの定理,メネラウスの定理,内接円の半径,センター試験

第5問(2)について

第5問(2)について整理すると以下のようになります。

解答欄サシ,スセソ,タチツ
条件1:△ABCにおいて、$AB=3 \ , \ BC=8 \ , \ AC=7$ 。
このとき、

  • ∠ABCの値(解答欄サシ)
  • △ABCの内接円の半径(解答欄スセソ)
  • △ABCの内心をIとするときのBIの値(解答欄タチツ)

解答欄サシ

まず、∠ABCの値を求める問題です。△ABCの3辺の長さは分かっているので、迷わず余弦定理を利用します。

\begin{equation*}\cos \angle ABC = \frac{{AB}^{2} + {BC}^{2} – {AC}^{2}}{AB \cdot BC}\end{equation*}

後は計算ミスをしないように計算しつつ、$0^{ \circ } \lt \angle ABC \lt 180^{ \circ }$ であることを考慮して∠ABCを求めます。

第5問(2)の解答欄サシの解答例

解答欄スセソ

次は△ABCの内接円の半径を求める問題です。

第5問(2)の作図その1

三角形の内接円の半径を求めるセオリーは、三角形の面積を利用して、内接円の半径についての方程式を導出する解き方です。

三角形の面積と内接円の半径との関係
内接円の半径を $r$ とすると、三角形の面積 $S$ は以下のように表せる。
\begin{equation*}
S = \frac{ 1 }{ 2 } \ r \left( AB + BC + AC \right)
\end{equation*}
「三角形の内接円の半径」が出てきたら「三角形の面積」を最優先で考えよう。

セオリー通りに解く場合、内接円の半径を三角形の面積から求めるので、三角形の面積を予め求めておく必要があります。

三角形の面積については公式があるので、それを利用して求めます。

三角形の面積の公式
\begin{equation*}
S = \frac{ 1 }{ 2 } \ AB \cdot BC \sin \angle ABC
\end{equation*}

内接円の半径を $r$ とおき、 $r$ についての方程式を導出して解きます。

\begin{equation*}
\frac{ 1 }{ 2 } \ r \left( AB + BC + AC \right) = \frac{ 1 }{ 2 } \ AB \cdot BC \sin \angle ABC
\end{equation*}

解答例は以下のようになります。

第5問(2)の解答欄スセソの解答例

三角形の面積を内接円の半径で表す

三角形の面積と内接円の半径との関係式がどのようにして導出されたのかを考えてみましょう。

内接円の内心と三角形の頂点とを結んだ線分によって、△ABCは3つの三角形に分解できます。3つの三角形は、底辺が△ABCの一辺で、高さが内接円の半径であるような図形です。

このような3つの三角形の面積の和は、もとの△ABCの面積に等しくなります。これで等式が得られます。

3つの三角形の高さは内接円の半径に等しいので、式変形ができます。すると関係式が導出されます。

三角形の面積と内接円の半径との関係

解答欄タチツ

さいごは線分 $BI$ の長さを求める問題です。この問題は三角比の定義が絡んだ問題です。ですから、解ける人と解けない人の差がはっきりする問題でしょう。

三角比の定義が絡んだ問題は意外と頻出。他の単元でも定義に絡めた問題が出題されるので、定義を正しく理解しよう。

内心とは、内接円の中心のことです。内接円は三角形の3辺とそれぞれ接するので、三角形の辺上に接点ができます。

3つの点「接点・内心・三角形の頂点」できる三角形は直角三角形になります。

また、三角形の頂点と内心とを結ぶ線分(直角三角形の斜辺)は、三角形の内角を二等分するという性質があります。

三角形の内接円の内心

この性質を利用すると、$\angle ABC = 60^{ \circ }$ だったので、$\angle IBC = 30^{ \circ }$ だと分かります。この角度と直角三角形であることを利用すれば、三角比の定義より、$BI$ の長さを求めることができます。

三角比の定義を利用して立式する
\begin{equation*}
\sin \angle IBC = \frac{r}{BI}
\end{equation*}
三角比は、もともと直角三角形の2辺の関係を表すもの。直角三角形以外の図形に拡張しただけ。

解答例は以下のようになります。

第5問(2)の解答欄タチツの解答例

第5問(2)の解答例とポイントをまとめると以下のようになります。

第5問(2)の解答例とポイントのまとめ

続きです。

第5問(2)の解答例とポイントのまとめ続き

「図形の性質」に関する問題では、三角比に関わる問題も出題されますが、「三角比の拡張」が原因なのか、三角比の定義が疎かにされがちです。

三角比は直角三角形で定義されるもので、直角三角形以外にも拡張して利用しているだけです。

小問(2)の最後の問題ではその辺りの関係を問われたわけですが、差がはっきりと出るので良問だと思います。

定義に関わる問題はかなり出題されているので、しっかりと対策を立てておきましょう。暗記で済まさず、本質の理解に努めましょう。

なお、センター試験に関する各種データは、大学入試センターのサイトで閲覧できます。

大学入試センター 過去のデータ
過去3年分の試験問題

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センター試験の過去問を解くことは必須ですが、単元ごとにポイントを把握しておくことも大切です。

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教科書で確認しておきたい知識

  • 円と線分が出てきたら、方べきの定理をイメージしよう。
  • 矢じり型の図形なら、メネラウスの定理をイメージしよう。
  • 三角形の内接円の半径なら、三角形の面積を利用しよう。
  • 三角形の内接円の中心は内心。重心や外心なども含めて五心。
  • 定義を正しく覚え、正しく利用できるようにしよう。