図形の性質|方べきの定理について

数学A

数学A 図形の性質

方べきの定理やその逆を扱った問題を解いてみよう

次の問題を考えてみましょう。

方べきの定理やその逆を扱った問題

問題に添付されている図形を見て、方べきの定理を利用できそうだと気付くのがポイントです。

ここで注意したいのは、方べきの定理を利用するには、円の中心Oではなく、2本の弦の交点Pに注目することです。

問(1)の解答・解説

問(1)

点 $O$ を中心とする半径 $3$ の円の内部の点 $P$ を通る弦 $AB$ について、$PA \cdot PB=5$ であるとき、次の各問に答えよ。

$2$ 点 $O \ , \ P$ を通る弦 $CD$ について、$OP=x$ とするとき、$PC$ と $PD$ を $x$ を用いて表せ。

方べきの定理やその逆を扱った問題
問(1)

問(1)は、線分PC,PDの長さをOP=xで表す問題です。問(2)を解くための準備だと思って、速やかに解いてしまいましょう。

問(1)の解答例

半径は $3$ より

\begin{align*} \quad OC = OD = 3 \end{align*}

また

\begin{align*} &\quad PC = OC – OP \\[ 7pt ] &\quad PD = OD + OP \end{align*}

$OP = x$ より

\begin{align*} &\quad PC = 3-x \\[ 7pt ] &\quad PD = 3+x \end{align*}
方べきの定理やその逆を扱った問題問1の図
問(1)の図

文字式の扱いに不安がある場合、いきなりxを用いるのではなく、解答例のように立式してからXに置き換えると良いでしょう。

また、長さを書き込んだ図を見ながら立式することでもケアレスミスを防げるでしょう。

問(1)のポイントと解答例は以下のようになります。

方べきの定理やその逆を扱った問題問1の解答例
問(1)のポイントと解答例

問(1)を解いたら、図に線分PC,PDの長さを追記しておきましょう。

問(2)の解答・解説

問(2)

点 $O$ を中心とする半径 $3$ の円の内部の点 $P$ を通る弦 $AB$ について、$PA \cdot PB=5$ であるとき、次の各問に答えよ。

線分 $OP$ の長さを求めよ。

方べきの定理やその逆を扱った問題
問(2)

問(2)は、線分OPの長さを求める問題です。与えられた等式PA・PB=5と問(1)の結果を利用します。

ここではxの値が分かれば良いので、「xについての方程式を導出できないか」と考えるのがこの問題のポイントです。すでに等式が与えられているので、この等式を上手に使います。

図形の問題でPA・PBのような線分の積が出てくれば、ほぼ方べきの定理で間違いありません。

実際に方べきの定理を利用して立式してみると、立式した左辺が等式の左辺と同じになります。このことを利用して、xについての方程式を導出します。

問(2)の解答例

方べきの定理より

\begin{align*} \quad PA \cdot PB = PC \cdot PD \end{align*}

ここで

\begin{align*} \quad PA \cdot PB = 5 \end{align*}

であるので

\begin{align*} \quad PC \cdot PD = 5 \end{align*}

これと問 $(1)$ より

\begin{align*} \quad (3-x)(3+x) = 5 \end{align*}

これを解くと

\begin{align*} &\quad 9-x^2 = 5 \\[ 7pt ] &\quad x^2 = 4 \end{align*}

$x \gt 0$ より

\begin{align*} \quad x = 2 \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad OP = 2 \end{align*}
方べきの定理やその逆を扱った問題問2の図
問(2)の図

xについての2次方程式を導出することができます。これを解けばxの値、すなわちOPの長さを求めることができます。

問(2)のポイントと解答例は以下のようになります。

方べきの定理やその逆を扱った問題問2の解答例
問(2)のポイントと解答例

よく間違えるのは、円の中心に注目してしまうことです。注目するのは弦の交点です。方べきの定理が成り立つときの図形の条件をしっかり覚えましょう。

線分の積が出てきたら、方べきの定理を使ってみよう。

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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 方べきの定理は、4つ(または3つ)の線分の長さの関係を表わす。
  • 方べきの定理の式は、相似な三角形の対応する辺の比から導出される。
  • 方べきの定理が成り立つときの図形は3パターン。
  • 3パターンのうち、接線を使ったものは要注意。